IP電話サービスを切替えた話
自宅の固定電話回線として利用してきたIP電話サービスを切り替えたので、その顛末をメモとして残します。
はじめに
自宅の固定電話としてISPが提供するIP電話サービスを利用してきたのですが、9月末にサービスが終了するとのお知らせがありました。残念ながらISPからは代替サービスは提供されず*1、現在使用中の番号を他のサービスに移行することもできないとのことでした。
これはこれでひどい話だなとは思いましたが、自宅の固定電話の構成を見直す良い機会と前向きに捉えることにしました。
これを機に固定電話を廃止して、今風に携帯電話だけにすることも検討しましたが、いろいろな場面で電話番号が必要になる場合、携帯電話の番号を教えたくない時に固定電話があると便利なので、代替サービスを探すことにしました。
サービス切替前の状態
IP電話サービス
- ISPのオプションサービス
- 月額利用料: 無料(ユニバーサルサービス料 3円/月(税抜))
- 国内固定電話: 8円/3分(税抜)
- 国内携帯電話: 17.5円/分(税抜)
ネットワーク機器構成
NTTからレンタルしたVoIP対応ルータのWeb Caster V130をメインルータとして利用し、電話機もそこに接続しています。WiFiアクセスポイントとしてWiFiルータのAtermWR9500NをWeb Caster V130にぶら下げて、アクセスポイントモードで使用しています。
IP電話サービスの選択
利用していたIP電話サービスはISPのオプションサービスです。移行先の選択肢として考えたのは以下の3つです。
1)ISPをIP電話サービスを提供する他のISPに切り替えた上でIP電話サービスを利用する。
2)ひかり電話を利用する。
1)は、現在のISPに料金も含め満足していること、ISPの切替をするとなると、追加で検討しなければならないことが増えることから考慮に入れませんでした。
2)は、当初検討していなかったのですが、ISPから終了するIP電話サービス利用者へのサービスとして、3ヶ月間基本料金を無料とするキャンペーンの案内が来たので、検討してみました。しかし、基本料金が最低でも月額500円かかる点、ナンバーディスプレイがオプションになっていて追加料金がかかる点などからやはり考慮対象外としました。
3)については、スマートフォン用に既に旧FUSION IP-Phone SMART (現SMARTalk)を利用しているので、それが第一候補となりましたが、他にも良いサービスが無いか調べてみました。
IP電話サービス比較
こちらのページを参考に、サービスを比較してみました。情報はすべて2019年8月現在のものです。
おすすめの050アプリ(IP電話アプリ)を比較して解説します
料金以外の検討事項として、後述するVoIPアダプタで固定電話として利用したいので、VoIPアダプタでの利用可否が挙げられます。最近のIP電話サービスは専用アプリでないと使えない(SIP情報が公開されていない)ものが多いので、その点は注意が必要です。
SMARTalk
国内固定の料金が高めです。
My 050 (旧050Free)
支払い方法がプリペイドです。クレジットが残っているかどうかを常に気にしなくてはいけないのはマイナスポイントです。国内携帯向け料金が若干高めです。
LaLa Call
- サービス提供会社: オプテージ(旧ケイ・オプティコム)
- 月額基本料金: 100円 (税抜)
- 国内携帯: 8円/30秒 (税抜)
- 国内固定: 8円/3分 (税抜)
- VoIPアダプタ利用: NG
- 支払い: 後払い
月額基本料100円かかりますが、通話料は一般的なものです。専用アプリでないと利用できないので、残念ながら固定電話としては使えません。
G-Call 050
- サービス提供会社: GAP
- 月額基本料金: 280円 (税抜)
- 国内携帯: 16円/1分 (税抜)
- 国内固定: 8円/3分 (税抜)
- VoIPアダプタ利用: OK (SIP情報を自ら取得する必要あり)
- 支払い: 後払い
月額基本料280円かかりますが、通話料は一般的なものです。専用アプリでの利用が前提ですが、SIP情報を取得する方法があるのでVoIPアダプタで利用できないことはありません。
root化端末を使わずに「G-Call050」のSIP情報を取得する方法
050 plus
- サービス提供会社: NTTコミュニケーションズ
- 月額基本料金: 300円 (税抜)
- 国内携帯: 16円/1分 (税抜)
- 国内固定: 8円/3分 (税抜)
- VoIPアダプタ利用: OK (SIP情報を自ら取得する必要あり)
- 支払い: 後払い
月額基本料300円かかりますが、通話料は一般的なものです。専用アプリでの利用が前提ですが、SIP情報を取得する方法があるのでVoIPアダプタで利用できないことはありません。
root化端末を使わずに「G-Call050」のSIP情報を取得する方法
結果
検討の結果、SMARTalkで行くことにしました。固定電話向け料金は高めですが、基本料金が掛からないことと、SIP情報が公開されていること(裏技に頼らなくて良い)を評価して決定しました。
VoIPアダプタの導入
固定電話構成の見直しにあたって、IP電話サービスの検討と合わせて、機器構成についても再検討しました。先に述べたように、サービス切替前はレンタルしたWeb Caster V130のVoIPアダプタ機能を利用していました。レンタル料金が月額380円(税抜)掛かっているので、この機会に廃止できないかと考えました。
調べてみるとGrandstream社製のVoIPアダプタを利用してIP電話を固定電話として利用する例がたくさん出てきます。そこで、Web Caster V130を廃止し、Grandstream HT801を導入することにしました。設定は以下のページなどを参考にさせていただきました。情報は一世代前の機種のHT701についてのものですが、ほぼそのまま使えました。
Grandstream HT701でFUSION IP-Phone SMART
Web Caster V130を廃止するとなるとPPPoE接続ができるルータが必要となります。そこでAtermWR9500Nをルータで使用することにしました。サービス切替後のネットワーク機器構成は次のようなものになりました。
WiFiアクセスポイントがGoogle WiFiとなっているのは、今回のIP電話サービス切替とは直接の関係はなく、自宅のWiFi環境改善の為に導入したものです。
おわりに
IP電話サービス切替の結果、金銭的には以下のようになりました。
- IP電話アダプタ付きルータのレンタル解約(-410円/月)
- ユニバーサルサービス料 (-3円/月)
- VoIPアダプタ Grandstream HT801 (7,200円)
VoIPアダプタの費用は18ヶ月で回収できることになります。
通話料は国内固定電話向けが8円/3分から8円/30秒と6倍高くなってしまいましたが、逆に携帯電話向けは17.5円/1分から8円/30秒と30秒課金になった上に料率も安くなりました。
感想としては、固定電話として利用できるIP電話サービスの選択肢が案外少なくて驚きました。今時、個人で固定電話を新たに設置することは少ないのでしょうか。事業所などは別にしても、今後家庭で固定電話が無いのが当たり前になる時代がくるかもしれませんね。
初出: 2019年8月15日
更新: 2020年5月20日 (誤字等修正)